パキロビッドパックの併用禁忌にあの薬が入っていない? ※追記あり
医療関係者ならご存じかと思われますがCYP3A阻害作用が強いため、多くの薬と相互作用をもっています。今後扱う可能性もあるので添付文書を見ていたのですが、気になるところがありました。
パキロビッドパックの添付文書より |
ベルソムラが入っていない。
2月19日時点でパキロビッドパックの添付文書の禁忌欄にベルソムラ(スボレキサント)が入っていません。
ノービア錠(リトナビル)の添付文書にも記載がないためそのままコピペしてきたのかなと思われます。同じ眠剤であるハルシオン(トリアゾラム)は入っているのにベルソムラがないのは如何なものか。ベルソムラも結構人気の薬なんですけどね。
ベルソムラ側の添付文書にはしっかりとリトナビル禁忌となっています。トリアゾラムと同様に過度の鎮静や呼吸抑制等のリスクが考えられるため避けたいですね。
医療関係者、特に医師と薬剤師は併用薬の確認を確実にお願いします。治療を受ける患者さん側も真面目に併用薬を伝えてください。お薬手帳があれば写真を撮ってもらってください。
血中濃度を高めるためにリトナビルを追加しているようですが、医療従事者側としては面倒です。本当はニルマトレルビルの使用量を節約したいだけではないのでしょうか。この非常事態では多くの人に提供することが重要なのでこういったこういった裏技的な方法になったのかなと想像しています。
ベルソムラの添付文書より |
今回の禁忌で対象が多い薬は?
第6回NDBから使用量をざっくりと調べてみました。下記にまとめた医薬品は特に対象者が多いと思われます。
トリアゾラムを成分に含む錠剤 約1億5500万錠/年間
ジアゼパムを成分に含む錠剤 約1億1200万錠/年間
ベルソムラ(10mg,15mg,20mg) 約2億1200万錠/年間
アゼルニジピンを成分に含む錠剤 約1億6800万錠/年間 ※合剤含む
カルバマゼピンを成分に含む錠剤 約1億8100万錠/年間 ※細粒含まず
イグザレルト(10mg,15mg) 約1億3300万錠/年間
外来(院内)を含めていない点と上位100位に入っていない薬を含めていない点から実際の使用量はさらに増えるでしょう。
改めてみてもベルソムラの使用量がすごい。この頃はまだデエビゴが出ていなかったので独壇場だったようですね。そして併用禁忌にベルソムラが抜けていて本当に良いのだろうか。対象者はかなり多そう。
余談
そういえばアムロジピンを初めて飲む患者さんへの説明時にグレープフルールジュース(以下GFJ)との併用で効果が強く出すぎる可能性があるので避けるように伝えたところ、「GFJを飲むと血圧が下がる?」と逆に飲んだほうが良いと認識されて対応に困ったことがありました。
しかし今回のリトナビルによるCYP3A阻害を理解したうえで量を少なくしても良いのなら、通常アムロジピン5mgのところ、少ない2.5mgを処方して毎日GFJを飲ませるよう指導するという考えもありなのだろうか。
毎日朝にGFJを飲む習慣・・・。うーん、ある意味辛いかも。
参考リンク(医療従事者向けです)
追記(3月13日):別リンクでの併用禁忌リスト
日本医療薬学会より「パキロビッド(ニルマトレルビル/リトナビル)の薬物相互作用マネジメントの手引き」が公開されました。
https://www.jsphcs.jp/news/2022/0228-1.html
国立国際医療研究センター病院より「パキロビッド®パックとの併用に慎重になるべき薬剤リスト」が公開されました。
https://www.hosp.ncgm.go.jp/phar/140/20220210.pdf
セララ(エプレレノン)、レンドルミン(ブロチゾラム)、リピトール(アトルバスタチン)等々添付文書には記載のなかった医薬品が多く記載されています。
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